地本申7号コーナー

災害発生時における社員の安全確保に関する申し入れ

最終更新日 2021年 8月 2日


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  ■ 申7号 災害発生時における社員の安全確保に関する申し入れ

2019年11月 6日申し入れ

 2019年6月18日に発生した山形県沖地震は山形県及び新潟県沿岸に約3時間に亘って津波注意報が発令され、村上~府屋駅間に停車した2013M及び837Dにおいてお客さまを高台への避難誘導を実施した他、鉄道設備に損傷を伴うなど大きな影響を及ぼしました。一方、津波注意報が発令されているエリアへ点検等による出動指示が出されるなど、対応する社員の安全確保について疑問が寄せられています。

 また、2019年10月12日に静岡県伊豆半島に上陸した台風19号は新潟支社管内においても河川の増水等により運転再開まで多くの時間を要しましたが、避難を呼びかける指示が自治体から出されているエリアでの設備点検や安全確認列車の運転を行うなど現場社員から安全性を不安視する多くの声が寄せられています。

 これら新潟支社が経験した2つの災害について対応する社員の安全確保を万全とするための教訓を労使で導き出し、今後の災害発生時においてその復旧・運転再開の過程で社員の命を守る体制を確立することが重要であると考えています。

 従いまして社員の声に基づき下記の通り申し入れますので新潟支社の誠意ある回答を要請します。


【共通】

  1. 帰省中の単身赴任者を含め列車の全面運休による通勤について考え方を明らかにすること。
  2. 通勤手段、通勤列車の指示を行った場合の勤務の取り扱いを明らかにすること。
  3. 災害発生時に備えた社員用保存食等の備蓄について考え方を明らかにすること。
  4. 災害発生時の行政との連携について明らかにすること。

【山形県沖地震関係】

  1. トンネル内の設備点検を行う順序を明らかにすること。
  2. 安否確認システム(メール)の現場での確認方法を明らかにすること。
  3. 業務用車等で出動する際の現地までの道路状況等交通の安全確保について明らかにすること。
  4. 津波注意報等発令エリアの設備点検に対する考え方を明らかにすること。
  5. 津波注意報等発令エリアでの運転再開の判断基準を明らかにすること。
  6. 津波注意報等発令エリアに居住する社員に対する出勤指示及び非常参集について考え方を明らかにすること。
  7. 避難梯子、照明器具等車両搭載品の使用訓練を全乗務員に対し定期的に行うこと。

【台風19号関係】

  1. 避難勧告等が発令されているエリアにおいて運転再開させる判断基準を明らかにすること。
  2. 「労働時間A待機」という指示について明らかにすること。
  3. 10月13日、上越新幹線は定時で運行していたが、東北新幹線が運転再開した後に上越新幹線で最大2時間以上の遅れが発生した。その理由を明らかにすること。

以上

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  ■ 団体交渉の日程が決定!

  ★ 2020年 3月31日 13時30分より団体交渉を行います

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  ■ 団体交渉を終了!

  ★ 2020年 3月31日 13時30分より団体交渉を行いました

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  ■ 支社側の回答及び見解

【共通】

  1. 帰省中の単身赴任者を含め列車の全面運休による通勤について考え方を明らかにすること。

    回答:災害発生等による急遽の交通遮断により、自宅及び帰省先から勤務箇所への通勤が困難である場合には、他交通手段による通勤等を認めることとなる。

  2. 通勤手段、通勤列車の指示を行った場合の勤務の取り扱いを明らかにすること。

    回答:所定の通勤が困難な場合は、箇所長等に指示を仰ぐことになる。

  3. 災害発生時に備えた社員用保存食等の備蓄について考え方を明らかにすること。

    回答:社員の非常食については、防災業務実施計画(対応編)「第6章第4節 社員の非常食」により配備を行っているところである。

  4. 災害発生時の行政との連携について明らかにすること。

    回答:災害発生時は、関係自治体等と情報共有するなど、相互に連携しながら対応することとなる。

【山形県沖地震関係】

  1. トンネル内の設備点検を行う順序を明らかにすること。

    回答:状況を踏まえ各対策本部等の指示により実施することとなる。

  2. 安否確認システム(メール)の現場での確認方法を明らかにすること。

    回答:安否確認メールの返信状況については、各箇所の管理者により確認が可能である。

  3. 業務用車等で出動する際の現地までの道路状況等交通の安全確保について明らかにすること。

    回答:状況を踏まえ各対策本部等の指示により実施することとなる。

  4. 津波注意報等発令エリアの設備点検に対する考え方を明らかにすること。

    回答:設備点検については、鉄道気象通報、気象庁の情報等を考慮し、各対策本部等において協議し、決定することとなる。

  5. 津波注意報等発令エリアでの運転再開の判断基準を明らかにすること。

    回答:運転再開については、鉄道気象通報、気象庁の情報等を考慮し、各対策本部等において協議し、決定することとなる。

  6. 津波注意報等発令エリアに居住する社員に対する出勤指示及び非常参集について考え方を明らかにすること。

    回答:出勤指示については、状況を踏まえ箇所長等が指示を行うこととなる。非常参集については、防災業務実施計画に基づき対応をとることとなる。

  7. 避難梯子、照明器具等車両搭載品の使用訓練を全乗務員に対し定期的に行うこと。

    回答:引き続き必要な訓練を実施していく考えである。

【台風19号関係】

  1. 避難勧告等が発令されているエリアにおいて運転再開させる判断基準を明らかにすること。

    回答:運転再開については、鉄道気象通報、気象庁の情報等を考慮し、各対策本部等において協議し、決定することとなる。

  2. 「労働時間A待機」という指示について明らかにすること。

    回答:管理者から待機を指示された場合には、労働時間として整理することとなる。

  3. 10月13日、上越新幹線は定時で運行していたが、東北新幹線が運転再開した後に上越新幹線で最大2時間以上の遅れが発生した。その理由を明らかにすること。

    回答:新幹線統括本部の判断により決定しているところになる。

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  ■ 団体交渉のポイント

【災害発生時における対応、勤務関係】

  • 災害発生時における勤務関係について
    • 会社が認めた場合他経路他手段の通勤、タクシーでの出勤(会社負担)を認める場合がある。『認めた場合』とは指示した場合
    • 障害休暇の適用は帰省なのか通勤なのかで定義が分かれる。出勤日に帰省先から出社する場合①事前に会社に届け出ている②会社が承認している③出勤に間に合う時間に発車する公共交通機関を利用している④経路が最短である⑤不可避な事故等であるの①〜⑤全てに該当した場合障害休暇を認める。通達(新支総人261号H12.11.22)による
    • 独身者は障害休暇の通達は適用されない。会社に届けている通勤経路であるかが判断基準となる
    • 自動車通勤の場合で事故や渋滞等で間に合わなかった時間は欠在(賃金カット)となる
      支社
      これらの原則に則った上で台風19号の時は時刻が明示されている交通機関を利用した不可抗力の場合は全て障害休暇が認められる旨のメールを各現場に人事課から送った
      組合
      本人に出勤する意思があるにも関わらず年休を選択させた事例があるが認識は?
      支社
      年休は本人の意思に基づいて付与されるべきである。障害休暇を適用するためには通勤する発駅へ行って出勤する姿勢を示し続けなければならないため、説明不足があったと思われる。課題とする
    • 帰宅の手段は原則として自分で対応となる。台風19号の時は交通困難の場合タクシー等での帰宅を認める旨の本社通達が出されたため認める場合が出た。本社通達が根拠であり現場で判断して良いものではない
  • 災害発生時に備えた社員用保存食等の備蓄について
    • 防災業務実施計画に基づき社員1人3日分の備蓄がされている
    • 用途が限定されているものではなく、地震や台風19号などのような社員の緊急出動時に使用することは可能である
  • 災害発生時の行政との連携について
    • 災害が発生してから同じテーブルで会議をするような仕組みはない
    • 台風19号における信濃川分水の止水での混乱は課題として認識している。設備部に部外協議の部署があり行政を含めトレースを行なっていく

【山形県沖地震関係】

  • トンネル内の設備点検を行う順序について
    • 点検する時は土木、電力、保線が複数でアルミカートに乗車して点検する
    • 一緒に点検トンネル出かけるのが基本
    • 何より重要なのは二次災害の防止。現地での判断が最優先である
      組合
      山形県沖地震ではトンネル構造物の安全が確認されていないのに電力設備の点検を指示された。何を持って安全が確保されているのか
      支社
      トンネル等構造物の安全保障はガル値で判断している。山形県沖地震では耐えられるガル値であったためトンネル強度は確保されている判断をした。トンネル強度の基準は下回っていたが、その他設備の点検基準は上回っていた
  • 安否確認システムの現場での確認方法について
    • 安否確認メールの返信状況は各箇所の管理者により確認が可能
    • 専任者しか扱えないことになっているが、職場にいる管理者が専任者からパスワードを聞いてアクセスすることは可能
      組合
      新津運輸区では副区長が来ないと見れないということで、副区長到着まで当直は列車運用、その場にいる社員の人海戦術で安否確認を行った。無用な混乱発生を教訓にしてもらいたい
      支社
      系統問わず再度周知していきたい
  • 業務用車等で出動する際の現地までの道路状況等交通の安全確保につい
    • 知り得た情報は共有するようにしているが、今回は異常時であるので情報収集ができず、現地に行ってみて把握することが多かった
    • 道路管理者からタイムリーな情報提供があるわけではない。当社の社員が第一発見者の場合もある
    • 情報伝達経路は、現地→現業機関→支社対策本部→現業機関→現地
  • 津波注意報等発令エリアの設備点検について
    • 津波警報が出されていれば出動しない
    • 津波注意報に緩和されてから点検に入る決まりとなっている
  • 津波注意報等発令エリアでの運転再開について
    • 津波警報発令中の運転再開はしない
    • 津波注意報での見合わせ解除はあり得る
    • 津波注意報が出されている場合で自治体の避難勧告が出された場合、津波警報が出されているものとして取り扱う。
  • 津波注意報等発令エリアに居住する社員に対する出勤指示及び非常参集について
    • 自分の命を守る事が前提
    • 身の回りの安全を確認し、震度6強であれば非常参集という考え方
  • 避難梯子、照明器具等車両搭載品の使用訓練について
    • 各区所で独自に訓練も行われているが、全区所で適切に扱われるように指導を行っていく
      組合
      2013Mはハシゴを使わずステップ降車。LEDライトも後から車両センターに問い合わせて搭載を知る事態だ。東日本大震災があって様々対策が実施されていると思うが周知が弱いのではないか
      支社
      現場実態を把握しながら現場周知を進めていく

【台風19号関係】

  • 避難勧告等が発令されているエリアにおける運転再開の判断基準について
    • 各系統の専門家の助言に基づいて対策本部長が最終的に判断している
      組合
      安全を確認するためとはいえ、自治体や国土交通省が「逃げなさい」と言っているエリアに向かって列車を運転する指示であり、設備の社員を含め命に関わる状況である。当日の会社の把握はどうか?
      支社
      磐越西線では阿賀野川のプレダス水位は中止になっていない。基準値を下回ってから雨警備で巡回をした上で安確列車に設備社員も乗った
      組合
      社員は自分で自治体の避難情報を調べ、ライブカメラの映像を管理者に見せて不安を訴えていた。対策本部長が再開を判断した根拠となっている各パートの専門家が何を見て大丈夫と判断をしたかを現場にFAXするなど「見える化」をして頂きたい
      支社
      今回の議論で現場への情報提供が重要である認識を持った。課題としては認識した

  • 「労働時間A待機」という指示について
    • 支社としては申し入れを受けて初めて聞いた言葉・指示と認識
      組合
      支社の関与は無いことを確認するが会社が行った指示である。どのような指示でありその指示に対してどのような認識か
      支社
      行路に指定された労働時間Aに沿って待機しなさいということ。待機を指示した時間は労働時間とする
      組合
      労働時間Aが何なのか会社から教育を受けた乗務員は1人もいない。指示する側と指示される側の相互理解が成立しない。時間を明示して休養と待機を命じる仕切りで整理してきたはずであり、この用語を用いた指示で退勤まで一括して指示したとはならない。また指定された労働時間Bはどう整理されたのか整理の問題も疑問だ
      支社
      わかりにくい指示であり望ましいとは言えない。確認したところ酒田運輸区でのみ行われた指示であると認識しており、酒田運輸区に確認する

  • 上越新幹線・東北新幹線の大宮口における運転整理について
    • 統括本部の管轄であり、なぜそのようになったのか問い合わせはしたが確認できなかった
      組合
      乗務員と指令は統括本部の管轄は承知しているが駅は新潟支社。お客さまに説明できるのか?大宮まで定時でそこから2時間遅れは駅を管轄する新潟支社として解明が必要ではないか
      支社
      言われていることはわかるが、問い合わせてもわからなかった

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