地本申13号コーナー

「羽越本線矢引・新矢引トンネル内における速度指定の取り扱い」に関する申し入れ

最終更新日 2022年 7月11日


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  ■ 申13号 「羽越本線矢引・新矢引トンネル内における速度指定の取り扱い」に関する申し入れ

2022年 3月18日申し入れ

 2021年11月15日に開催した申4号・「2021年度冬期の取り組み」に対する申し入れの団体交渉において、E653系の窓ガラス破損対策として今冬期では計画的なトンネル徐行は実施しないとの考えを示されました。

 しかし、2021年12月28日に12Mに窓ガラス破損が発生したことから、指令通告により急遽、羽越本線・三瀬~羽前水沢間の第二閉そく信号機から第一閉そく信号機まで速度80㎞/h以下の速度規制を行いました。12月30日以降は「速度指定」と称して、矢引トンネル・新矢引トンネル内を80㎞/h以下に速度を低下し運転する「お願い」による対応とされましたが、安全を守るための手段としては不足しているとの認識です。

 今回の速度指定という取扱いに至った経緯と共に、E653系窓ガラス破損の原因を明らかにし、「社員・お客さまの命を守る」ことができる運行体制を確立するために下記の通り申し入れますので、新潟支社の誠意ある回答を要請します。


  1. 2021年12月28日に発生した12Mの窓ガラス破損の原因を明らかにすること。
  2. 2021年12月28日に発生した12Mの窓ガラス破損後、矢引トンネル及び新矢引トンネルにおいて、速度指定により速度を低下させて運行している理由を明らかにすること。
  3. トンネル内での落雪による窓ガラス破損の防止対策に対する考え方を明らかにすること。
  4. 新潟支社内におけるトンネル内での窓ガラス破損の危険箇所とそれぞれの危険箇所における対策を明らかにすること。
  5. トンネル内の落雪による窓ガラス破損で「乗務員・お客さま」への怪我等の防止に対する考え方を明らかにすること。
  6. 矢引トンネル及び新矢引トンネルにおける窓ガラス破損防止対策として、今冬期は徐行を実施しなかった根拠を明らかにすること。
  7. 運転取扱い実施基準並びに運転士標準集に記載されていない「速度指定」を実施した根拠と理由を明らかにすること。
  8. 当該区間を乗務する全ての職場に対して「速度指定」の取扱いを周知しなかった理由を明らかにすること。
  9. 上越線・小出~八色間の福山トンネル及び新福山トンネル内において、徐行信号機による速度制限を実施している根拠と理由を明らかにすること。

以上

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  ■ 団体交渉の日程が決定!

  ★ 2022年 5月13日 13時00分より団体交渉を行います

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  ■ 団体交渉を終了!

  ★ 2022年 5月13日 13時00分より団体交渉を行いました

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  ■ 支社側の回答及び見解

  1. 2021年12月28日に発生した12Mの窓ガラス破損の原因を明らかにすること。

    回答:場所及び原因は不明だが、何かが窓ガラスに衝撃し破損したものと考えられる。

  2. 2021年12月28日に発生した12Mの窓ガラス破損後、矢引トンネル及び新矢引トンネルにおいて、速度指定により速度を低下させて運行している理由を明らかにすること。

    回答:速度指定は総合的に判断し、実施したところである。

  3. トンネル内での落雪による窓ガラス破損の防止対策に対する考え方を明らかにすること。

    回答:窓ガラス破損防止対策は、実施しているところである。

  4. 新潟支社内におけるトンネル内での窓ガラス破損の危険箇所とそれぞれの危険箇所における対策を明らかにすること。

    回答:トンネル内での窓ガラス破損とは断定できない。

  5. トンネル内の落雪による窓ガラス破損で「乗務員・お客さま」への怪我等の防止に対する考え方を明らかにすること。

    回答:「安全」は当社のトッププライオリティであり、引き続き取り組んでいく考えである。

  6. 矢引トンネル及び新矢引トンネルにおける窓ガラス破損防止対策として、今冬期は徐行を実施しなかった根拠を明らかにすること。

    回答:トンネル内での窓ガラス破損とは断定できないが、前年は窓ガラス破損の実績が無かったため実施しないこととした。

  7. 運転取扱い実施基準並びに運転士標準集に記載されていない「速度指定」を実施した根拠と理由を明らかにすること。

    回答:速度指定は総合的に判断し、実施したところである。

  8. 当該区間を乗務する全ての職場に対して「速度指定」の取扱いを周知しなかった理由を明らかにすること。

    回答:関係箇所には周知を行い、実施したものである。

  9. 上越線・小出~八色間の福山トンネル及び新福山トンネル内において、徐行信号機による速度制限を実施している根拠と理由を明らかにすること。

    回答:トンネル内での窓ガラス破損とは断定できないが、トンネル内の対策が未実施のため徐行信号機による速度指定を実施したところである。

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  ■ 団体交渉のポイント

  • 12M・特急「いなほ12号」の窓ガラス破損の原因について
    • 窓ガラスが割れた事実はあるが、何処で何がぶつかり割れたのか原因は解っていない
    • 矢引トンネルで起こったと断定は出来ていないが、昨冬期まで行っていた速度制限をやめたことが変化点のひとつである
    • あくまで原因である可能性があるだけであり、可能性が高いという認識では無い
    • 速度指定をして以降もE653系の窓ガラス破損は1件発生している
  • トンネル内での落雪による窓ガラス破損の防止対策に対する考え方について
    • 基本的にトンネルの風圧は入った瞬間が一番大きいため、出入り口100Mを設定して対策を行った
    • 矢引トンネルにおいては12月28日以降、トンネル出入り口の前後30枚くらいずつネットを延長する対策を追加した
    • 車両側については強化ガラスや、雪の付着を防ぐためのシートをE653系の床下機器に設置している
  • 窓ガラス破損防止対策として、今冬期は矢引・新矢引トンネルで徐行を実施しなかった理由について
    • 80km/hの徐行と飛散防止ネットを併用した昨冬は窓ガラス破損の実績が無かったことから効果が出たと判断して、今年度は徐行を行わない判断をした
    • 飛散防止ネットを使用して速度低下をせず120km/hで運行する形での対策の検証は行っていない
    • 車両からの落雪i9lトンネル内で石が飛び跳ねるような状況を車両に予め施した上で現象を再現することは難しく、試運転はしていない
    • 今回の12Mの事象を受けて新たに行った対策は無い
  • 12Mの窓ガラス破損後に矢引・新矢引トンネルで速度を低下させて運行させた理由について
    • 速度制限の解除という変化点が唯一あった所である、最繁忙期でありガラス割れによる運休でお客さまにご迷惑をお掛けする可能性がある、ガラスが割れてお客さまが負傷する可能性もある、などを総合的に判断し、実施した
    • 原因が特定出来ていれば、それに必要な対策をたてられるが、実際は原因が特定出来ている訳では無く、可能性としての対策という施し方になる
  • 徐行信号機ではなく、「速度指定」により速度を低下させた理由について
    • 線路の故障や工事などにより、所定の速度で走行すると脱線などの危険があれば徐行信号機を建植する
    • 今回は線路の故障ではないので120km/hで走っても脱線転覆の危険性は無いが、「速度指定」で速度を落とし、変化点に対しての可能性を下げる判断をした
    • 制限速度は、昨年度まで80km/hの徐行信号機で行っていたことを踏襲し、ガラス割れの原因の要素の1つであるので、速度指定という形で速やかに周知を図った
      組合
      現場の管理者とのやり取りの中では「これは、徐行信号機を付けるまでの暫定措置である」と説明されたが3月31日まで継続されている
      支社
      その解釈が徐行信号機 を付けるまでという解釈であったのかということは確認取れていない。何処でどのように食い違ったかというところまでは把握は出来ていない
      組合
      当該の運輸区も支社からどのようにしていくべきか相談を受けて「徐行信号機を立てるべきである」と進言をしたと聞いている。それが何故徐行信号機では無く速度指定という手段に変わったのか?
      支社
      今初めて聞いた部分であり、どのようなやり取りがあったかというのは解らないが、会社として速度指定で今回はお願いするというような形はとったと思う
    • 安全を確保する手段としての「速度指定」という取扱いは、センター試験時に新潟大学前駅でホームの進入・進出速度の指定を行ったことがある
      組合
      速度指定という取扱いは「安全はトッププライオリティ」という言葉に恥じない取扱いであったのか
      支社
      リスクを考えた中で、会社としてはそれは守られるという認識の中で行った
      組合
      業務指示では無く、乗務員への「お願いベース」であり、確実に実行されるという確証が無いのではないか
      支社
      リスクで言えば徐行信号機でも「速度超過」の可能性はあり、速度を低下させるという目的に関しては変わらない
  • 「速度指定」実施の根拠について
    • 「速度指定」は「運転取扱実施基準」並びに「運転士標準集」に記載はされていない
      組合
      北海道での遊覧船事故もあり、本来やるべきことをやっていなかった、ルールに無いことをやっていたなどを見過ごして万が一、何かが発生した時に我が社が本当に危機に及ぶという問題意識から「徐行信号機を立てるべき」と主張している
      支社
      ルールは無い訳では無い。「運転取扱実施基準」第2条に、「実施基準の適用にあたって疑いが生じた場合は指揮命令系統に定める上長の指示による」というものがある
      組合
      納得し辛い根拠であり、現場では「このルールが通るのであれば何でもありだ」との声が出ている

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