昨年の春闘交渉ふりかえりのコーナー

昨年~2020春闘~のたたかいを振り返ってみよう

最終更新日 2021年 2月 6日


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  ■ 中央執行委員会見解を発出  (2020年 3月15日)

 中央本部は2020年度賃金改定妥結に当たり、3月15日付で中央執行委員会見解を発出しました。


闘妥結に関する中央執行委員会見解

 

 私たち東日本ユニオンは、第7回中央委員会で決定した2020春闘要求「一律6,000円を柱とする社員、エルダー社員、グリーンスタッフの賃金改善」「4係数の定期昇給の実施」「第二基本給の廃止」「終身雇用と年功序列型賃金の将来にわたる維持」を申第21号として2月16日に経営側に提出し、以降「春闘の燈を絶やさない」決意のもと、団体交渉を行ってきた。

 団体交渉では組合側の「過去最高の営業収益を更新し続ける企業へと成長させたJR労働者の尽力を評価し、報いるべきである」とする要求実現にむけた主張に対し、経営側は「生産性は向上している」「要求満額を支払う経営体力は当然ある」と明言する一方、新賃金については「将来にわたる人件費などを総合的に判断する」との姿勢に終始した。さらに第二基本給については「65歳定年延長とセットで議論したいと考える」「当社の賃金形態は発足以来『総合決定給』であり、定期昇給は社員の成長や能力の伸びなど総合的に判断し決定している」との認識を示した。これに対し組合側は「自然災害や新型コロナウイルスの脅威に直面しながらもJR労働者は現場で奮闘している」「第二基本給は人件費抑制の生い立ちと経年に鑑みても廃止するべき」などを主張し、経営側に強く要求実現を迫ってきた。

 3月13日に経営側は「所定昇給額の1/10ならびに主幹職と技術専任職およびS等級以上への200円、主務職およびT等級への100円の加算」「エルダー社員、グリーンスタッフの基本賃金への400円の加算」「第二基本給は変更しない」「終身雇用・年功序列型賃金は、今の雇用形態を変える考えはない」とする回答を示した。組合側は回答を「持ち帰り検討」とすることを通告し、直ちに中央執行委員会で稟議を行った。稟議では「回答は要求と額面に大きな乖離があること」「求めていた一律回答ではなく、職制で格差をつけたこと」は納得しかねる回答であることを明確にした上で、①社員、エルダー社員、グリーンスタッフにベースアップを実施したこと、②要求通り、定期昇給の実施と4係数としたこと、③「第二基本給の廃止」と「終身雇用・年功序列型賃金」について、経営側と議論する端緒を切り拓いたこと、④3月13日の回答日は適正な時期であることを成果として確認した。そして、この悔しさを全組合員の共通認識として「要求実現のために東日本ユニオンのさらなる組織拡大を実現する」決意をもって妥結することを判断した。

 私たち東日本ユニオンは2020春闘勝利にむけ、全組合員とともに「2020春闘総決起集会」を大きな柱に据えながら、組織一丸となって現状変革の一歩を踏み出す取り組みを進めてきた。苦渋の判断で「集会の開催」は中止したものの、職場から創意工夫した「いまできる2020春闘」を実践してきた。中央本部へ届けられた檄布や檄紙、組合員のメッセージなどは、まさに「2020春闘の燈」を組合員一人ひとりが絶やさない決意のあらわれである。あらためて組合員に敬意と感謝を申し上げたい。

 春闘はいま、大きな転換点を迎えてようとしている。労働界自らが「統一闘争」を放棄し、職務や成果を重視した配分を前提とした要求を行うなど、春闘だけに止まらず労働組合の存在意義そのものが問われている。私たち東日本ユニオンが「あるべき労働組合像」を見出し、労働側の先頭に立って道を切り拓いていかなくては労働者の未来はない。その端緒としての組織拡大を実現し、これからも労働組合として組合員と家族のみならず、すべてのJR労働者が安心して働く職場づくりをめざし奮闘する決意を申し上げ、2020春闘妥結に関する見解とする。

 2020年3月15日

 JR東日本労働組合

 中央執行委員会

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  ■ 第3回団体交渉 (2020年 3月13日)


 第3回団体交渉は2020年 3月13日。経営側より回答を受けました。


1.令和2年4月1日現在、満55歳未満の社員

 (1)定期昇給を実施し、その際の昇給係数は4とする。

 (2)基本給改定を実施し、社員の基本給に対し所定昇給額の10分の1の額並びに、主幹職B以上、技術専任職及びS等級以上には200円を、主務職及びT等級には100円を加える。

 ※各等級の基本給改定額は別表のとおりとなる。(ここでは割愛)

 ※賃金規程第13条から第15条に定める初任給についても、上記基本給改定に伴い等級にあわせた改定を行う。

2.令和2年4月1日現在、満55歳以上の社員

 基本給改定を実施し、令和2年4月1日現在の基本給額に対し、在級する等級により前項に準じて計算した額に賃金規程附則(平成24年3月8日人達第9号)第3項を適用した額を加える。

 ※第1項及び第2項による社員の定期昇給後の基本給改定に伴う平均改善額は684円となる。

3.前各項の精算については、令和2年6月25日(木)以降、準備でき次第とする。

★第2項、3項、5項及び6項に対する回答

 ・エルダー社員の基本賃金に400円を加える。

 ・グリーンスタッフの基本賃金に400円を加える。

 ・「第二基本給の廃止」については、変更する考えはない。

 ・「終身雇用・年功序列型賃金」については、今の雇用形態を変える考えにない。


 中央本部は経営側からの回答に対して席上妥結はせず、持ち帰り議論としました。

 中央執行委員の持ち回り稟議を行い、妥結を行う判断をしました。

 中央本部は3月15日、経営側に対して妥結する旨を回答しました。

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  ■ 第2回団体交渉 (2020年 3月 6日)

 第2回団体交渉は2020年3月 6日。「直近の業績は極めて厳しい」という経営側に対し本部交渉団は、「鉄道はチームワークで動いているものであり一律による6,000円の満額回答を求める」と強く訴えました。


◆ 組合側の主張(要旨)

  • 社員、エルダー社員、グリーンスタッフは、会社の発展に向けて等しく奮闘している。鉄道はチームワークで動いていることから「一律」による6,000円の満額回答を強く求める
  • 相次ぐ自然災害の中でも営業収益は過去最高であり、特別損失を出しながらも好調な業績を出していることに労使で自信を持ち合いたい。要求の6,000円を満額支給しても人件費総額は2016年度と変わらない。決して突出感のない理性的な要求である
  • 新型コロナウイルスの影響を受けて現場社員は大変苦労しているが「頑張れる」そのモチベーションは、鉄道員としての任務と使命から生み出されている。そこに「高い公共性が発揮されている」と見るべきだ
  • 会社の業績が良いときも悪いときも、社員一人ひとりは安全・安定輸送、質の高いサービス」に差をつけることなく、会社の発展に寄与している。決算書には現れない社員の潜在能力に対して賃上げをすることが重要であり、賃上げを一律ではなく職制ですみ分けることは認められない
  • 第二基本給の廃止は定年延長とセットではなく、単体で議論すべきである。制度の生い立ちから考えても制度開始から30年以上経った今日、廃止する時期を迎えている
  • 労働組合として考える「終身雇用・年功序列型賃金」は、長期雇用と年齢ごとに見合った生計費を保障することができる。社員は生活が安定することで業務に集中できる

◆ 経営側の主張(要旨)

  • 経営環境の中長期的な先行きは不透明だが「変革2027」の中間点とした2022年度の数値目標を変更する考えはない
  • 社員の奮闘により生産性は向上している。社員の地道な努力に感謝を申し上げる
  • 台風被害による特別損失や新型コロナウイルスによる運輸収入減など、直近の業績は極めて厳しいと言わざるを得ない
  • 要求満額を支払う経営体力は当然ある。しかし、将来にわたる人件費に与える影響など総合的に判断する必要がある
  • 物価上昇も踏まえた生活保障も賃金改定の考慮要素の一つだが、生計費に対する物価上昇の影響はないと見ている
  • 「第二基本給の廃止」をめぐる議論は、定年延長と「セットで議論するもの」と考えている
  • 当社の賃金形態は会社発足以来総合決定給だ。定期昇給の実施にあたっては、社員の成長や能力の伸びなど総合的に判断し決定している

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  ■ 第1回団体交渉 (2020年 2月28日)

 第1回団体交渉は2020年2月28日。組合側から要求の趣旨説明を行うとともに、経営側から現状認識の説明を受けました。


◆ 組合側の要求趣旨説明(要旨)

  •  幾多の困難を乗り越え、いまや連結ベースで3兆円の営業収益を上げる企業へと成長してきた。賃金は労働条件の最たるものであり、私たちの要求は会社の経営状況をみれば十分に支払い可能な水準。この間の組合員の尽力を正当に評価し満額回答で報いるべき
  •  一律6,000円の賃金引き上げについては、世間相場を反映した要求額。これまで行われた定期昇給や賃金改善の実施以上に会社の利益は上昇し、逆に労働分配率は低下している。社員への分配が過少に抑えられている現状がある。経営側は人への投資として賃金引き上げを行い、働く者のモチベーションの維持・向上を果たすべきだ
  •  昨年10月から消費税が10%へ増税され、可処分所得への影響も考慮する必要がある
  •  エルダー社員は豊富な知識と経験を持ち、職場では頼もしい存在。仕事の内容は現職時と変わらないどころか逆に増えており、賃金も現職時と比べて大幅に減額となっている。グリーンスタッフは営業職場の最前線で社員と何ら変わらずに奮闘している。この努力に報いるためのも基本賃金の改善を要求する
  •  定期昇給の実施について、経営側は「昇給実施日」として意義と実施を「労働条件に関する協約」と「就業規則」に謳っている。確実な実施を求める
  •  第二基本給の廃止について、若い社員ほど退職時の算定額への影響が大きくなる。将来への不安は拭い切れず、賃金改善分からの3割カットは理不尽な制度設計である。将来設計を有意義なものにできる制度とするため廃止すべき
  •  経団連が日本型雇用システムの見直しについて言及をしていることは認識している。日本が取り続けてきた雇用システムは、経済成長と働く者の安心と働きがいを持ち合わせたものであり、日本企業の労使関係の基礎とも言える安定的な基盤だ。根底には「働くことに重要な価値をおき、公正な労働条件で多様な働き方を実現する」ことにより、労使ともに成長と発展が見込まれる
  •  要求満額回答を強く求める!

◆ 経営側の現状認識(要旨)

  •  基本給改定の基本的な認識は、中長期的な経営見通しを踏まえ、環境変化に対応するための生産性向上への社員の貢献に対する成果配分を基本として、生活保障や生計費の水準、ベテランや若手への重点配分などを加味しながら決定する
  •  JR東日本の基本給は職責、資格、等級、年齢に応じた生計費水準を総合的に勘案して決定している。
  •  6期連続で実施した基本給改定に伴う賃金カーブの状況や手当の見直し、キャリア加算など人件費への影響や賃金水準等も含めて総合的に判断する必要がある
  •  基本給以外の要求については、人件費に与える影響等を踏まえ慎重に判断する必要がある
  •  この間繰り返し述べているようにJR東日本は高い公共性を有した企業であり、世の中の動向も踏まえて突出感のないように留意すべきだ

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  ■ 申21号として賃金改善の要求を提出 (2020年 2月16日)

 2020年賃金引き上げ要求の提出は、2020年2月16日。申21号・2020年度賃金改善等に関する申し入れとして経営側に提出しました。


 2020年度賃金改善等に関する申し入れ  (2020年2月16日申し入れ)

 当社は国鉄改革を経て誕生し、34年目を迎えます。JR労働者は雇用や将来の不安を抱えながらも「鉄道の再生・復権」をめざし、会社発足以降の33年間を社員一丸となって幾多の困難を乗り越えてきました。その過程では、お客さまや地域のみなさまに支えていただき、いまや連結ベースで営業収益が3兆円を超える企業へと成長することができました。

 2018年7月に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」では、これからの変化を先取りし「鉄道を起点としたサービスの提供」から「ヒトを起点としたサービスの価値・創造」に転換していくことが謳われています。

 向こう10年先、30年先の中長期的な成長戦略を描く上で、いかに機械化やシステム化を進めて人に頼らないシステムを構築しようとも、当社の経営基盤である鉄道事業においては人間労働が存在します。これまで受け継いできたJR労働者がもつ技術や技能、知識と経験などを、さらに次代へと発展・継承し続けていくことは、将来にわたって「安全・安定輸送や質の高いサービスを実現させていく」といっても過言ではありません。

 私たちJR東日本グループに働くすべての労働者は、いま、大きな変化の分岐点に立っています。当社の描く成長戦略の実現・推進にむけては、中長期的な視点に立ったJR労働者の生活と労働意欲の維持・向上、そして安心が必要不可欠です。自らの成長のもとにJR東日本グループの成長と発展にむけ、日々奮闘しているJR労働者の労働力の価値に見合った賃金改善等を求めて、下記の通り申し入れますので、経営側の真摯な回答を要請します。

  1. 基本給ならびに初任給を、社員一律6,000円引き上げること。
  2. エルダー社員の基本賃金を、一律6,000円引き上げること。
  3. グリーンスタッフの基本賃金を、一律6,000円引き上げること。
  4. 定期昇給を実施すること。昇給係数は4係数とすること。
  5. 第二基本給を廃止すること。
  6. 終身雇用・年功序列型賃金を将来にわたって維持すること。

 

以 上

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