昨年の春闘交渉ふりかえりのコーナー

昨年~2021春闘~のたたかいを振り返ってみよう

最終更新日 2022年 1月21日


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  ■ 第3回団体交渉 (2021年 3月18日) NEW


 第3回団体交渉は2021年 3月18日。経営側より回答を受けました。


1.令和3年4月1日現在、満55歳未満の社員

  定期昇給を実施し、その際の昇給係数は2とする。

2.前項の精算については、令和3年6月25日(金)以降、準備でき次第とする。


★口頭回答

 ・ベアゼロ

 ・エルダー社員ベアゼロ

 ・第二基本給を廃止する考えはない

 ・特別加給を実施しないとの考えはない


◆ 経営状況に対する認識について

  • 新型コロナウイルス感染症の影響が大きい。行動制限が出されたことで移動を支えて収入を得るというJR東日本の生業からすれば大きな影響を受けた
  • 人口減少とデジタル技術の進展、テレワーク等々により鉄道の移動ニーズが減少している側面がある
  • お客さまが減少したなかで社員に尽力を重ねていただいている部分がある
  • 固定費が高い企業という性質の中でも必要な構想や戦略は進めてきた

◆ 2係数での定期昇給実施について

  • 新型コロナウイルスの影響を受けて社会の環境が大きく変わった。社会のニーズから離れてしまうと会社として持続的な成長は望めない。レベルとスピードを上げて引き続き変化にしっかり対応していく期待をこめて、総合的に勘案し昇給係数2という判断をした
  • 定期昇給は4係数での実施が結果的にこの間続いてきたということであり、そこからすれば2係数での実施は数字上の見た目は下がったことになる
  • 定期昇給は4係数以内という定めであり、どこかが基準であるわけではなく、都度判断していくものである中で、昇給係数2とした。
    組合
    この間、昇給係数4をイメージして議論してきた経緯がある中で、ここへ来て急に「どこが基準ということはない」と言われるのは違う。経営状況が厳しくなったら「基準がないの」というのは言い方が変わったのではないかという受け止めだ
    会社
    文言上の原則を申し上げた。昨年度までは黒字経営であった中で昇給係数4を続けてきた。その上で今回は会社の状況を踏まえて昇給係数2とした
    組合
    過去の交渉でも基本給は中長期的に影響を及ぼすから慎重な判断が必要と言われてきた。JR東日本にとってマイナスの事態が作用した時であっても、定期昇給も含めて変動させることのないような賃金カーブでいくという認識で過去に調印してきた。経営側と認識が一緒ではなかったのか
    会社
    生活する社員と家族の幸福を考えて、安定的な支給は重要な要素と考えている。今回は厳しい状況の中で厳しい判断をせざるを得ないが、賃金の引き上げは重要なファクターであることから、昇給係数は2であるが、昇給自体は実施するという回答をしている
    組合
    4係数を実施せずに2係数とした場合に人件費はどれぐらい削減できると試算しているのか
    会社
    係数を4から2にして削減という捉え方ではない。社員数は48,900人、2係数の昇給は3,200円平均であり、ボーナスにより左右されるが、4係数と2係数を比べれば、大体25億円から30億円の差となる

◆ ベースアップの実施について

組合
定期昇給無きベースアップは無いと考えるが認識一致は図れるか
会社
未来永劫ではないが、基本的にはベースアップの前に昇給があると考えている

◆ 第二基本給について

  • 高年齢者雇用安定法が4月1日から改正される。70歳までの就業機会の確保という努力義務があり、完全義務化を見据えている。努力義務である間に取り組みを進めて下さいという内容であり、法律の趣旨に基づいて社内で検討、勉強は開始していく必要はある

◆ 特別加給について

  • 特別加給を含めて当社の昇給制度であり、会社としては必要なことだと考えている
  • 昇給制度として、定期昇給については昇給係数で計算した上で、特別加給を足すという仕組みであり、決算状況により変える判断はしていない

 交渉団は席上妥結せず、持ち帰り検討を通告しました。

 中央執行委員の持ち回り稟議を行い、妥結を行う判断をしました。

 中央本部は3月19日、経営側に対して妥結する旨を回答しました。

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  ■ 第2回団体交渉 (2021年3月11日)

 第2回団体交渉は2021年3月11日。「極めて慎重に判断」という経営側に対し本部交渉団は、「単年度だけを見て判断することは認められない」と強く訴えました。


◆ 4係数の定期昇給実施について

<経営側の主張>

  • 新型コロナウイルスの影響は大きく収益の状況が大幅に悪化している。収束後もコロナ以前には戻らない。全社員が一丸となって、今後さらに生産性の向上や抜本的な構造改革に取り組む。今年度の新賃金は足元の状況を踏まえつつ、定期昇給の実施など極めて慎重に判断する必要がある
  • 持続的成長のために社員の安定、安心感が重要であることは認識一致できる

<組合側の主張>

  • 安全・安定輸送の確保に向け、すべての社員は日々業務に必要な専門的な知識や技能、経験値を積み重ねている。会社諸施策や生産性向上と向き合うほか、経費節減や黒字化に向けても努力を重ねている。新型コロナウイルス感染拡大防止という新たな課題にも尽力している
  • 少子高齢化などを踏まえ、経営側は先を見据えて営業収益の比率を7:3から6:4にする経営戦略をコロナ以前から取り組んできている。「コロナ前に戻らない」など、社員にネガティブな先入観を植え付けるのではなく、社員の労働意欲を保持する発信が重要だ
  • JR東日本発足から定期昇給制のもと、確実に定期昇給を行なってきた事実がある。定期昇給の実施によって、社員は将来にわたる賃金カーブを見出してきた。その賃金カーブは長期雇用を前提としており、社員は安定的な生活を送るための人生プランを立てている。その人生プランには4係数の定期昇給が入っている。
  • 2012年に実施した「新人事・賃金制度」導入時に会社が示した賃金カーブを崩すことは認められない
  • 賃金は手当と違い、中長期的に影響を及ぼす。組合はこの間、企業の成長と雇用維持を基本としながら慎重に判断し調印してきた。定期昇給を簡単に実施してきたとは考えていない。これまで経営側も、賃金改定においては「不測の事態」を視野に入れて慎重に判断してきたはずだ。単年度だけを見て判断することは認められない。社員の労働意欲を保持するためには安定した生活基盤と納得感が必要である

◆ 3,000円のベースアップ実施について

<経営側の主張>

  • 足元の状況を踏まえつつ、極めて慎重に判断する必要がある
  • 人件費の削減をメインに考えてはいない。賃金や福利厚生など、社員に直結するものをさわるということではない。そこはしっかりと議論を経て行う
  • 投資要素は年度によって変化する。利益率についても目に見えない部分がある。赤字を乗り越えるために様々な施策を行っている。イノベーション投資は、固定費削減と成長の両面がある。会社としても「ただ黒字になれば良い」ということではなく、黒字を続けるとともに労働環境や労働条件を改善していきたい
  • 物価下落で社員の生活が楽になったとは思っていない。精神的負担については、社員に頑張ってもらうことになる

<組合側の主張>

  • 2021年度グループ年次計画では「ポストコロナにおいてもJR東日本グループには多くの強みがある」と明るい指針を示しているほか、成長投資やイノベーション投資を行い、2025年には営業利益を2,520億と中長期的に見れば利益を見込んでいる。
  • 「2018年~2022年度計画」では成長投資として1兆4,400億円、「2021年~2025年度計画」では1兆8,280億円と増額している。技術革新があっても、最後は人の判断、人の力である
  • 「もう一段の固定費の削減」を明らかにしているが、期末手当や賃金の削減、業務委託の拡大などによる人件費の削減のみに頼った営業費用の削減は認められない
  • 会社が実施してきた各施策や福利厚生の変更によって、生計費の負担増となっている社員が多くいる
  • エルダー社員はJR本体やグループ会社などを問わず欠かすことができない存在だ
  • 社員のスキルアップには「社員が生活する上で必要なスキルアップ」と「JR東日本に必要な社員としてのスキルアップ」の2つの視点がある。経営側は社員のスキルアップが「モチベーションにつながる」と主張するが、生活とは切り離して考えるべきである。社員への投資について「研修や資格の取得」と「生活」を並列に語られることに納得できない。私たち東日本ユニオンが求める社員への投資とは「生計費の維持・向上」のためである

 全社員一律の賃金改善について

<経営側の主張>

  • コロナ禍で社員みんなが頑張っているのは理解している。その中で、新たな取り組みで光る社員や大汗をかいた社員がいるのも事実。会社として判断していく

<組合側の主張>

  • すべてのJR労働者は「コロナ禍」「赤字下」で等しく奮闘している。社員間に差はない。社員一律のベースアップを要求する。すでに「職責の重さ」は賃金制度の所定昇給額により加算されているからこそ、定期昇給および4係数の実施をしなければならない
  • 今年度に限っては賃金規程第23条の「特別加給」の一時停止を求める。調査期間を「前年4月1日から当年3月31日まで」と定めているが、まさにコロナ禍にあって、すべての社員が等しく一丸となって奮闘してきた期間である
  • 会社が「社員一丸」を合言葉にしている今、ベースアップの格差支給は全社員から理解、納得感が得られない。赤字下においては「公平感」を持つべきでだ

 第二基本給の廃止について

<経営側の主張>

  • 国鉄からJRになるとき「退職金を抑制するため」につくられた制度であり、国鉄採用の社員がまだいるので使命は終えてない。定年延長の法改正などが国会でも議論されており、そのこととあわせて議論した方が良いと考えている
  • 賃金カーブのつくりから考えないといけない。廃止となれば1日違いで退職手当の「多い、少ない」が生じる。議論すること自体を否定するものではない

<組合側の主張>

  • 「第二基本給」の生い立ちと目的を考えると、JRになって丸34年を目前に控えた今日、使命を終えた制度であると考えている。当社の発展に寄与した社員の退職金が抑制されるのは理不尽であり、納得できない
  • 退職手当を支給する意義は、人材確保や退職後の生活保障、長年にわたる会社への貢献に対する慰労などであると認識している
  • 完全民営化も成し遂げており、今の経営状況を考えれば不要である。なぜ「第二基本給の廃止」単体で議論ができないのか。JR採用の社員が現在8割を占める中で理解は得られない。即刻廃止を求める

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  ■ 第1回団体交渉 (2021年3月1日)

 第1回団体交渉は2021年3月1日。組合側から要求の趣旨説明を行うとともに、経営側から現状認識の説明を受けました。


◆ 組合側の要求趣旨説明(要旨)

<組合側の現状認識>

  • 新しい生活様式に代表されるように、人々の価値観が大きく変わる時代の変化点を迎えている。しかしJR東日本が運行する列車は安全、かつ安定的に走るとの価値観は変わっていない。お客さまの「あたり前」を実現しているのは、JR東日本グループで働くすべてのJR労働者一人ひとりの努力に他ならない
  • 経営側が効率化施策を進める中にあって、施策を担うのは私たちJR労働者であり、施策の目的と現場実態との現実の乖離という苦労の矢面に立たされるのもJR労働者である
  • 会社業績が赤字であることは十分認識している。しかし、基本給改定は単年度の業績だけで決定する性質のものではない
  • 「黒字化」に向けては、JR労働者の「衣、食、住、育、介」に憂いなく安心して業務に集中できる環境が大前提。働く者が納得したワークライフバランスが整い、JR労働者が心身ともに健康な状態で働くことで生産性がさらに向上し、品質や安全性の向上、業績回復、そして新たな「変革2027」の数値目標の実現にむけた努力につながる
  • JR労働者が一丸となって、現場第一線で等しく業績回復などに向けて奮闘しているにも関わらず、2020年度の期末手当は大きく削減された。JR労働者の「衣、食、住、育、介」に対する不安は尽きない。

<春闘要求の趣旨>

  • 鉄道業においては、基本的に専門的な知識や技術を習得して、初めて仕事ができる業務体制である。今ある「安全・安定輸送」は、JR労働者個々の経験の積み重ねや技能の向上によって確保されているといえる。定期昇給の実施と4係数の実施を強く求める
  • コロナ禍、赤字下において、職制や職種に関係なくJR労働者は等しく奮闘している。この間のいわゆる格差ベアは、社員一丸となって困難な現状を乗り越えようとする決意や想いに水を差す行為である。まして今年度は赤字業績を予測しており、黒字下ではない。中長期的な経営見通し、経営環境の変化に対応するJR労働者の奮闘、生産性向上に対するJR労働者の貢献、生活環境の変革および物価上昇を踏まえた生活保障、年齢に応じた生計費の水準を考慮要素として社員一律3000円のベースアップとエルダー社員の基本賃金を一律3000円の引き上げを求める
  • 第二基本給は、若い社員ほど退職時の算定額への影響が大きくなるなど、あまりにも理不尽な制度である。会社発足から間もなく丸34年目を迎えようとする今日、導入目的や制度の趣旨をみたときに「第二基本給の使命は終えた」といえる。第二基本給の廃止を求める
  • コロナ禍、そして赤字下におけるJR労働者の奮闘に対して優劣はない。2021年度の賃金改定においては一部社員が対象となる特別加給を実施せず、その原資を1円でも多く、すべての社員に配分すべきだ

◆ 経営側の現状認識(要旨)

<基本的な認識>

  • 基準内賃金の引き上げは長期にわたり総額人件費に多大な影響を及ぼすため慎重な判断が必要。基本給は中長期的な経営見通しを踏まえて社員の貢献への成果配分という観点を基本に様々な要素を踏まえながら議論を経て決定する
  • 第3四半期決算は運輸収入が7000億円減、営業利益は△6400億円という大幅な赤字決算。通期の営業利益は5080億円の赤字を見込むなど通期業績予想を下方修正し、極めて厳しい経営状況に置かれている
  • 足元の日本経済の動向は昨秋ごろには持ち直しの動きも見られたが、2度目の緊急事態宣言により、特に鉄道や航空業界は厳しい状況。インバウンドなどの需要回復も見通せない状況
  • 中長期的な見通しでは、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、感染症収束に向けた期待されている
  • ポストコロナ社会では人の移動を伴わない働き方や暮らし方が急速に普及し、鉄道をご利用になるお客さまはコロナ以前の水準には戻らないと考えられる
  • 早期の業績回復を進め、変革2027の実現に向けた取り組みのスピードとレベルを上げ、サスティナブルな社会の発展に貢献する企業グループを目指さなければならない
  • 鉄道事業はコントロールできる幅の少ない固定費の割合が大きい。今まで以上に徹底したコスト管理が必要。抜本的な構造改革により生産性を向上させていかなければならない
  • 社員の能力を最大限に発揮できる働き方の推進、会社の持続的な成長の実現により働きがいや労働条件の向上、社員・家族の幸福を実現するという好循環を生み出していく必要がある

<基本的なスタンス>

  • 基準内賃金の引き上げは中長期にわたり総額人件費に多大な影響を及ぼす。足元の状況を踏まえつつ、中長期的な動向等を慎重に勘案しながら議論する必要がある
  • 厳しい経営見通しと現状を乗り越えた上で、ポストコロナ社会を見据え変革のスピードアップを進めなければならない
  • 新賃金については極めて慎重に判断しなければならず、総合的に勘案して判断する必要がある

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  ■ 申6号として賃金改善の要求を提出 (2021年 2月22日)

 2021年賃金引き上げ要求の提出は、2021年2月22日。申6号・2021年度賃金改善等に関する申し入れとして経営側に提出しました。


 2021年度賃金改善等に関する申し入れ  (2021年2月22日申し入れ)

 新型コロナウイルス感染症の猛威は「新しい生活様式」に代表されるように、人々の価値観を大きく変える変化点となりました。とりわけ人と人との接触機会を減らすために、通勤・通学をはじめ、出張や旅行などの自粛または制限にとどまらず、移動によらないインターネットなどを利用した新たな手段へと置き換わりつつあります。

 その影響はJR東日本の経営を直撃し「2020年度第3四半期決算」では会社発足後初めて営業損失、経常損失、四半期純損失を計上したほか、2020年度の通期業績予想を下方修正しました。

 「変革2027」の数値目標を新たに設定するとした厳しい局面を迎えている今日、私たちJR東日本グループに働くすべてのJR労働者は、コロナ禍以前にも増して「安全・安定輸送」の確保に全力をあげ、度重なる自然災害からの早期復旧に立ち向かっています。さらにサービスの品質向上やJR労働者自身の質的向上に励み、自らの成長のもとで業績の回復をめざし日々奮闘しています。

 しかし、JR労働者が一丸となって現場第一線で等しく奮闘しているにも関わらず、2020年度の期末手当は大きく削減されました。経営側には当社の人財たるJR労働者の「衣、食、住、育、介」の充実と、将来にわたる生活の安心と安定を果たす責務があります。

 私たちJR労働者の労働力の価値に見合った賃金改善等の実施を求めて下記の通り申し入れます。経営側の真摯な回答を要請します。

  1. 定期昇給を実施すること。昇給係数は4係数とすること。
  2. 社員の基本給ならびに初任給を一律3,000円引き上げること。
  3. エルダー社員の基本賃金を一律3,000円引き上げること。
  4. 第二基本給を廃止すること。
  5. 2021年度の賃金改定においては賃金規程第23条の特別加給を行わないこと。

 

以 上

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